作業療法士の為の幸福学⑥はポジティブ心理学の紹介です。
ポジティブ心理学は1998年にマーティン・セリグマン(当時アメリカ心理学会の会長)が提唱した新しい学問領域です。
それまでの心理学が心の病、病理の理解、治療するためネガティブな側面(欠点、欠陥の理解)に重点を置いてきた反省から、「人生を真に充実したものにするものは何か」という問いものと幸福や強みなどポジティブな側面を研究し、人の暮らしに役立つ情報を提供するための学問です。
書籍によってはウェルビーイングを研究する学問とも紹介されています。個人的に健康と幸福を促進する職業である作業療法士にとっては必須の学問領域であると思っています。
セリグマンは自身の研究から幸福の条件を5つの側面で提示しています。その5つの側面の頭文字をとってPERMAと提起しています。
①Positive emotion(ポジティブ感情): うれしい、楽しい、気持ちいいなどを伴う感情経験
②Engagement(エンゲージメント):何かに夢中、没頭している経験、フロー体験
③Relationship(関係性):利他的行動や感謝から得られる良好な人間関係
④Meaning(意味、意義):人生、今取り組んでいることに対する意味を社会と関連づけて感じている
⑤Achivement(達成):目標や挑戦的課題への従事と成し遂げる経験
以上の5つの側面を伴う経験が幸福をもたらすとセリグマンは提起しています。
作業療法で対象者さんと取り組む目標や課題に上記の5つの側面を反映させることで、対象者さんの幸福を促進できるかもしれません。
幸福を促進する作業療法士はポジティブ心理学を勉強しましょう^_^