作業療法士のためのポジティブ心理学④ではポジティブ感情についてその種類と効用をまとめ、作業療法との接点について論じます^_^
ポジティブ感情についてはポジティブ心理学の提唱者であるセリグマンが、自身のPERMA理論の中でウェルビーイングを高める1つの要素としてあげています。
ポジティブ感情は、広く気分の良い前向きな明るい感情と捉えることができますが、さらに踏み込んで心理学者バーバラ・フレドリクソンはポジティブ感情を10種類に分類し提唱しています。
①喜び:思わず笑顔になるような、全てがうまくいっている時の感情
②感謝:与えられた何かについて、その価値を認めた時に沸く感情
③安らぎ:今の心地よさをゆっくり味わっている感情
④興味:新しい物事に関心を抱き、心を突き動かされる感情
⑤希望:絶望的な状況の中で、可能性を信じる感情
⑥誇り:自分の努力と能力を投じて、何かがうまくできた時の感情
⑦愉快:安全な状況の中にいて、心から面白いと思った時に湧いてくる感情
⑧鼓舞:奮い立つような感情が湧いて、心が熱くなっている感情
⑨畏敬:鼓舞よりも、スケールの大きい素晴らしさに出会った時に感じる感情
⑩愛:すべてのポジティブ感情を内包し他者を愛おしく慈しむ感情
そしてフレドリクソンはポジティブ感情の効用として「拡張・形成作用」を提唱しています。
具体的には以下4つの機能の拡張と形成を促進するとしています。
①認知機能:集中力や創造性(発散的思考)の拡張と形成
②精神機能:自己受容と人生の意義を見出す能力の拡張と形成
③社会機能:良好な人間関係の拡張と形成
④身体機能 :健康の拡張と形成
作業療法士がポジティブ感情の種類を知っておくことで、対象者の幸福を促進するためにどんな活動や作業が、どんなポジティブ感情を誘発することができるのかをより詳細に捉え、プログラムに反映することにつながると考えます。
そしてポジティブ感情の効用を知ることで、「活動や作業を通じて誘発されるポジティブ感情が対象者のどんな能力の拡張や形成を促進できるのか」、「必要、期待される能力の拡張と形成のためにどんなポジティブ感情が必要なのか」といった目標設定を方向づける情報にもなると考えています。
次回作業療法士のためのポジティブ心理学⑤ではネガティブ感情についてその特徴や役割についてまとめます^_^
参考図書
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