みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです。
作業療法士は対象者のやりたい作業の実現を支援します。
やりたい作業の背景には対象者の欲求があります。
欲求と言えばマズローの欲求ピラミッドですが、最近、進化心理学によって新しい欲求ピラミッドが提案されています。
今回は進化心理学で提案された新しい欲求ピラミッド(ケンリックによる)について共有します。
新しい欲求ピラミッドでは人の根源的な欲求を7段階で提案しています。下層から
自己防衛(自分の身を守りたい)
病気回避(病気になりたくない)
協力関係(他者と仲良くしたい)
地位・承認(他者から良い評価を得たい)
配偶者獲得(配偶者を得たい)
配偶者保持(配偶者と良い関係を維持したい)
親族療育(子供を作って育てたい)
というものです。
進化心理学による新しい欲求ピラミッドの基本的な考え方は、人は自身の遺伝子を後世に伝えること、生殖と療育活動を主要な欲求としていることです。
簡単にいうと人は自身の遺伝子を残すためにモテたい、配偶者を得たい、子供を作りたい、安定した人的環境の中で子供を育てたいという欲求の実現に向けて行動選択をしているということになります。
一方でマズローの欲求ピラミッドは自己実現という創造的な欲求に向かって人は成長、動機付けられるとされています。
進化心理学よる新しいピラミッドはより動物的、根源的な欲求に人は動機付けられることを提案しています。
さて作業療法は対象者の健康と幸福を促進するためやりたい作業の実現を支援します。
逆を言えば作業療法では対象者を動機付けるもの、欲求として健康になりたい、幸福になりたいという思いを想定していることになります。
では健康になりたい、幸福になりたいという欲求の背景、行く末に何なのか?
マズローの提案する自己実現に向かう欲求があるのか、進化心理学が提案する生殖と療育に向かう根源的な欲求があるのか?
作業療法士は対象者の個人因子や環境因子に応じて、どちらがより対象者を動機づけ、行動変容につながるか、対象者の欲求に応じた提案をできることが必要と考えます。
今回共有した新しい欲求ピラミッドは、作業療法士に欲求に基づく動機付けへの選択肢を拡大することになると考えます。
参考文献
きみの脳はなぜ「愚かな選択」をしてしまうのか 意思決定の進化論 (KS一般書)
- 作者:ダグラス・ T・ケンリック,ヴラダス・グリスケヴィシウス
- 発売日: 2015/01/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)