みなさん こんにちは 健康と幸福を促進する作業療法士blueskycarpです^_^
作業療法士は対象者の幸福を促進する作業の実現を支援します。
一方で幸福を促進する作業を実現するためには、幸福についての様々な知見を知る必要があります。
幸福については知見は3大幸福論とされるアラン、ラッセル、ヒルティなどの哲学的な幸福論、ポジティブ心理学に基づく幸福論、経済学に基づく幸福論など様々あり、このブログでも過去に様々紹介してきました^_^
今回はヴィクトール・フランクルの幸福論について簡単に解説していきます^_^
ヴィクトール・フランクル(1905〜1997)はオーストリアの精神科医です。
ナチスドイツにより強制収容所に収容され家族や妻と死別するといった過酷な経験をしました。
その経験は「夜と霧」という書物を著しています。こちらは心理学、精神医学関係の書籍における名著とされています。
強制収容所生活で生きる希望を失い、「もう人生には何も期待できない」状態にある他収容者の様子や対話を記した内容です。
フランクルの幸福論は、一般にいわれている「自分自身のやりたいことの実現」を否定しています。
これは「幸福のパラドクス」として「幸福を求めると幸福は逃げていく」というテーゼとして、自己実現や自分の欲求、願望中心の生き方を否定します。
人の自己実現の希求、欲求や願望には際限がなく、「もっと、もっと」と求めることで結局は絶えざる欲求不満の状態(虚しさ)に追い込まれるとしています。
一方で「意味と使命中心の生き方」を提唱し、幸福はその結果に過ぎないと言います。
「どんな人生にも意味がある。自分を必要とする『何か』があり、自分を必要とする『誰か』が必ずいて、自分に発見されるのを待っている。そして自分にも、その『何か』や『誰か』のためにできることがある」
つまり自分自身の内側にある欲求の実現を中心にした生き方ではなく、周りの環境や人の期待に応え、できることを実践することが結果として幸福をもたらす生き方につながることを提言しています。
作業療法では対象者の「やりたいこと」、「やる必要があること」、「まわりからやることを期待されること」の実現を支援します。
フランクルの幸福論に従えば、「まわりからやることを期待されること」の実現を支援することが幸福を促進できる作業療法のあり方であると考えることができます。
自己実現にだけに偏らず、他者や社会のために貢献感を感じる作業、利他的な作業の実現を図ること、ICFでいえば「参加レベル」を支援、促進することが幸福を促進する作業療法の実践につながると考えます^_^
<参考文献>
入門書としてはこちらがおススメです^_^
関連書としてはこちらがおススメです^_^