作業療法士の為の幸福学、今回はヒルティの幸福論についてそのエッセンスと作業療法の接点について述べていきます。
スイスの哲学者カール・ヒルティ(1833〜1909)は、弁護士、大学教授、政治家として幅広い著作活動を行った人物です。
ヒルティは幸福論を1891年(明治24年)に記しました。ヒルティの幸福論はキリスト教の信仰に基づくものであることが特徴です。
ヒルティの幸福論のエッセンス、キーワードは「仕事」です。やるべき仕事をみつけ、それに邁進することが幸福をもたらすと主張しています。第1章はまさに仕事をするこつとして提示されています。
「真の仕事ならどんなものであっても必ず、真面目にそれに没頭すれば間もなく興味がわいてくるという性質を持っている。人を幸福にするのは仕事の種類ではなく、創造と成功の喜びである。」
「我を忘れて自分の仕事に立ち、完全に没頭することのできる働き人は最も幸福である」
「働きの喜びは、自分でよく考え、実際に経験することからしか生まれない。それは、教訓からも、また、残念ながら、毎日証明されているように、実例からも、決して生まれはしない。」
作業療法で言えばヒルティのいう「仕事」は「occupation」にあたると考えます。
一般的にoccupationは職業と訳されますが、「占領」、「占有すること」という意味があったと思います。
対象者のこころや時間を占有する活動を提供し、それに没頭する経験を提供することが、対象者の幸福に寄与すると考えることができると思います。
超訳 ヒルティの幸福論: 世界で一番幸せになる「思考力」 (単行本)
- 作者: カールヒルティ,Carl Hilty,齋藤孝
- 出版社/メーカー: 三笠書房
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次回、作業療法士の為の幸福学〜その⑤〜では3大幸福論の共通の要素と作業療法の接点について述べます。