作業療法士は、人々の健康と幸福を促進する医療福祉保健領域の専門家です。
作業療法士は「健康」については教育過程でそれと対立する概念である疾病や障害に関連した学びを通じて理解を深めています。
一方で「幸福」について学問的に学ぶ機会は不足していると考えています。
「幸福」を学ぶための学問としてポジティブ心理学がありますが、作業療法士の教育過程・カリキュラムにポジティブ心理学は残念ながら含まれていません。
そこで幸福を促進できる作業療法士の養成に寄与するためポジティブ心理学についてシリーズでまとめていくこととしました。
毎回1000字程度で簡単にポジティブ心理学のエッセンスや考え、研究成果を紹介していきます。
ポジティブ心理学は幸福を科学する学問です。
1998年にアメリカの心理学者マーティン・セリグマンによって提唱されました。
それまでの心理学は人のネガティブな側面、問題(精神疾患)の理解と解消に焦点を当てていました。
一方でセリグマンは人の肯定的な側面(強み、ポジティブ感情、フローなど)に焦点をあて、それを伸ばす要因や成果を研究することで、個人や社会の幸福度の向上に貢献する学問としてポジティブ心理学を提唱しました。
ポジティブ心理学はソクラテス、アリストテレスを代表とする「古代ギリシャ哲学」、そしてアブラハム・マズローに代表される「人間性心理学」に起源を持つとされています。
そしてポジティブ心理学は人の幸福=ウェルビーイングを科学的に研究する学問とされています。
科学的というのは数値の測定とその定量的な分析に基づく、つまりエビデンスベースドな心理学という側面を持ちます。
作業療法は対象者のウェルビーイングの向上を経験則だけでなく定量的な実証研究の成果=エビデンスにも基づいてアプローチすることが求められます。
ポジティブ心理学の研究や成果を知ることは、より根拠に基づく作業療法の提供に寄与することが期待できます。
是非このブログ記事をキッカケにポジティブ心理学を学ばれることを期待しています。
次回作業療法士のためのポジティブ心理学②では幸福の種類について紹介し、まとめていきます。
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