作業療法士は対象者の「やりたい作業」の実現を支援することで健康と幸福を促進します。
作業療法士は対象者がやりたい作業、やりたいことをインタビューや観察などを通じて把握していきますが、対象者本人がそのことを明確に表現できる、理解できているとは限りません。
また作業療法士の主なフィールドである医療保健福祉分野に限らず、価値観や選択肢が多様化し自身のやりたいことが分からず困っている、生きる意味を模索して悩む人が多いのが現代社会です。
そういった医療保健福祉領域に限らずあらゆる人々の健康と幸福を促進するために、作業療法士は「本当にやりたいことを見つけるコツ」を知っておくことが重要であると考えます。
「本当にやりたいことを見つけるコツ」は「本当にやりたいことの公式を知ること」です。
公式は
「本当にやりたいこと」=「好きなこと」×「得意なこと、やり方」×「大事なこと」です。
この公式の出典は以下の書籍です。
この書籍では「本当にやりたいこと」の見つけ方を上記の公式に基づいてわかりやすく説明し、やりたいことを気づかせてくれるおススメの書籍です。
「本当にやりたいこと」の構造を公式化し、それぞれの要素を把握するための思考法や質問(自問)を提示してくれています。
まず「好きなこと」は興味関心を感じる、知らない状態から知っている状態に変えたくなる衝動を持つ情熱を向ける分野を表します。
好きなことは例えば「お金を払ってでも勉強したいことは何か?」と自問、質問すると見えてきます。
次の「得意なこと、やり方」は無意識にやっている思考・感情・行動のパターン、クセであり、自然と無意識に他者よりもうまくできるている、やっていることを表します。
やっていると心地よい、頑張らなくてもできている、ストレスなく夢中にできる、やっていると自分らしさを感じるといったように自身の強みに相当することになります。
逆にひとがうまくできていないとイライラすることでわかるのも自身の得意なこと、強みとされています。
興味関心のある分野=whatを、その人が得意なやり方=howで実施できることがまずは「やりたいこと=doing」になります。
そして最後の「大事なこと」とは「どうありたいか?」、「どう生きたいか?」といった価値観=beingを表します。
価値観は例えば、尊敬するひと、憧れる人はだれか?そしてなぜ尊敬するのか?を考えることで見えてくるものです。
「本当にやりたいこと」はその人の価値観に根ざしている必要があり、「なぜそれをするのか=why」を説明できるものになります。
「何のために生きるのか?」「何のために働くのか?」といった仕事や人生、生きる目的と結びついていることが「本当にやりたいこと」において決定的に重要な要素となります。
対象者の「やりたい作業」の背景にある価値観、whyを把握することで対象者がどう生きたいか=beingを支援することになります。
対象者の価値観を把握し、興味関心のある作業をその人の強みを活かして遂行できるよう支援することは、すなわちその人らしさを支援することになると考えます。
今回紹介した公式はそんな支援の実現を効果的に実践できるために有益ではないでしょうか?