今回の学びの指南書⑤では、人材育成の研究者、立教大学教授中原先生の提案する「大人の学びの為の7つの行動」を取り上げて、セラピストとしての学びと成長のあり方を提案していきます。
中原先生の提案している学びのための7つの行動は以下のとうりです。
行動⑴タフな仕事から学ぶ
行動⑵本を1トン読む
行動⑶人から教えられて学ぶ
行動⑷越境する
行動⑸フィードバックを取りに行く
行動⑹場を作る
行動⑺教えてみる
中原先生は、七つの行動をすべて実践するという意味ではなく、自身の学びの中に足りない要素を加えてみる、まずは実践できるところから始めてみることを提案されています。
僕が特にお勧めしたい行動は行動⑷「越境する」行動⑹⑺「場を作り教えてみる」です。
越境する、つまり慣れ親しんだ環境、領域を離ることで通用しないという体験から、学び成長できることができます。大人の学びには痛みを伴う体験が必要です。僕はボバースアプローチの基礎コース、上級者コースでまさにこの普段の臨床能力では通用しない世界を体験したことが、セラピスト人生の成長に大きな経験となっています。コースの最中は、できない自分に困惑し、逃げ出したくなる自分に直面します。その痛みが自身の成長の幅を伸ばしてくれたと思います。
そして、そこでの得た知識、技術を慣れた環境のスタッフに伝達するという「場を作り教えてみる」ことで、さらに理解が深まり自身の学びをより深いものにしてくれます。
若いセラピストの方々も、自身のため、そして周りのスタッフのため、そして何よりも患者さんに知識と技術を還元し、問題解決に貢献するため、時には慣れた環境から離れた場に身をおいて学ぶ機会を設けてはどうでしょうか?特に最近、成長を実感できていない方はぜひ挑戦してみてください^_^
次回は経験学習の研究者、松尾睦先生の知見に基づいて、成長とはどういうことかに焦点を当てて、自身の成長、他者=若いスタッフ、学生さん、さらには患者さんの育成支援について考えてみたいと思います。