昨年5月、日本作業療法士協会から作業療法のあらたな定義が提示されました。以下その定義です。
「作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。」
冒頭に人々の健康と幸福を促進するため…とあります。
作業療法を提供する上では健康については、その対をなすであろう病気、疾病、障害という概念を通じて勉強してきたかと思います。
一方幸福はどうでしょうか?僕が学生だったのはかれこれ20年以上前ですが、幸福についてなにかしらの講義を受講した記憶はありません。
僕は4年間教職をした経験がありますが、その際幸福をキーワードにした講義はなかったと記憶しています。
卒後も幸福をテーマにした研修会、勉強会も受講したことがありません。というかそんな研修会があるかどうかも ? です。どなたかご存知であればぜひ教えてくださいm(_ _)m
昨年実習生(中国地方限定ですが)にも聞いてみましたが学内で幸福について教えられている様子はありませんでした。
僕の知る限り卒前、卒後共に幸福について学ぶ機会は十分でないようです。
であれば、健康と幸福を促進する作業療法士になるためには、自身で幸福についての知見を学ぶ必要がありそうです。
幸福の知見はどのようにすれば得られるのでしょうか?
僕自身、幸福の知見は哲学、心理学、経済学といった分野から勉強しています。
哲学領域ではずばり幸福論としてアラン、ラッセル、ヒルティの3大幸福論があります(3大幸福論というのは日本だけのようですが…)。
心理学領域ではポジティブ心理学があります。
いずれも幸福についての理解を含め、幸福を促進する作業療法を実践する上で手がかりとなる内容と思っています。
次回のブログではアランの幸福論のエッセンスを紹介し、作業療法との接点を考えてみます。^_^